日本は高齢化社会を迎えております。
昭和・平成・令和と時代が流れてゆく内に、65歳以上の人口は増加傾向を辿り、令和6年時点で総人口の29.3%に達しました。実に、2.6人に1人が65歳以上、約4人に1人が75歳以上となる訳です。
年齢が進むにつれて懸念される事項の一つに、健康面が挙げられるかと存じます。
健康面と一口に申し上げましても様々ですが、その中でも認知症は、記憶力や判断力の機能が低下し、日常生活に支障をきたします。
また、金銭や不動産等の財産の管理も、ご自身では難しくなって参ります。
早期に医療機関を受診する等の対策は非常に有効ですが、もし、症状が進行してしまい、上述のような状態になってしまった場合、本人に代わり金銭や不動産等の財産の管理を支援する成年後見人を立てられるという制度がございます。
具体的にどのような特徴の制度なのでしょうか。
本コラムでは、『成年後見制度』につきまして、情報をご提供して参ります。
*成年後見制度の概要
当制度について、日頃皆様もお耳になさった事がお有りの方もいらっしゃるかと存じます。
成年後見制度とは、認知症・知的障害・精神障害等により物事を判断する能力が充分では無い方について、本人の権利を守る人(「後見人」等)を選ぶ事で、本人を法律的に支援する制度です。例えば、日常的な金銭以外にも、財産の管理や契約をご自身で行う事が難しい場合、全ての財産の管理に関する契約等の法律行為を「後見人」が援助することになります。財産管理のみならず、介護・福祉サービスの利用契約や施設入所・入院の契約締結等の身上保護も同様で、一人で決める事に不安を抱く方々を法的に保護し、ご本人の意思を尊重した支援をする制度となります。
*成年後見制度の種類
成年後見制度には、次に挙げられる4つの種類があります。
本人の権利を守る人=「成年後見人」(本人が未成年の場合は「未成年後見人」)は、本人・配偶者・四親等内の親族等からの請求に基づき、家庭裁判所で後見開始の審判が行われ、選任されます。このような手続きにより「成年後見人」を付けられた本人の事は「成年被後見人」と呼ばれます。
①補助
判断能力が不充分であることが通常の方を対象に「補助人」が付く
②保佐
判断能力が著しく不充分な方を対象に「保佐人」が付く
③後見
判断能力が欠けているのが通常の状態の方を対象に「成年後見人」が付く
④任意後見
本人の判断能力が不充分になった時に、本人があらかじめ結んでおいた任意後見契約に従い援助する人「任意後見人」が付く
(家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから、その契約の効力が生じる)
このようにして選任された「成年後見人」が本人に代わり、不動産や預貯金等の管理、遺産分割協議等の相続手続き等、財産管理や法律行為の支援を行います。
*「成年後見人」選任までの流れ
「成年後見人」が選任されるには、まず、市区町村に設置されている中核機関や地域包括支援センター、社会福祉協議会、成年後見制度に関わる専門職の団体等の地域の相談窓口にて、成年後見制度を利用するための手続、必要な書類、成年後見人になってくれる方について、あらかじめ相談が可能となっておりますので、まずは相談することから始まります。その後、家庭裁判所へ申し立てを行い、家庭裁判所で審判が行われます。申し立て者本人の為にどのような保護・支援が必要か等の事情に応じ、家庭裁判所が審判を行い、「成年後見人」が選任されます。ご本人の親族以外にも、法律・福祉の専門家その他の第三者や、福祉関係の公益法人その他の法人が選ばれる場合もございますし、「成年後見人」等を複数選ぶ事も可能です。また、「成年後見人」等を監督する「成年後見監督人」等が選ばれる事もございます。
*不動産との関わり
認知症等により判断能力が不充分な方が増加すると、不動産取引の停滞、空き家の増大、不動産市場の縮小等の影響を与えます。判断能力が不充分な方は、不動産に係る契約等を行うことは困難であり、保有不動産が市場で適切に取引出来なくなり、不動産の円滑な取引や流通に支障をきたします。このような状況において、「成年後見人」は有効な方策となります。家庭裁判所により選任された「成年後見人」は、代理人として、その不動産に関する契約の締結等を行うことが可能です。後見制度を用いることで、滞留しがちであった判断能力が不充分な方の不動産をより円滑に取引することが可能となるのです。加えて、不動産に関わる悪質商法や詐欺等の不当な取引の防止、及び取引や管理等の適正化等も図ることが出来ます。
ただし、ご本人の居住用不動産につきましては、ご本人が病院や施設に入所し、現在は居住しておらずとも、将来居住する可能性がある場合、又は入所前に居住していたという不動産の処分につきましては、家庭裁判所の許可が必要となります。許可を得ず処分した場合は無効となります。(処分=売却、抵当権の設定、賃貸借契約の締結・解除、建物取り壊し等)
とは言え、「成年後見人」は、認知症等により判断能力が不充分な方の支援を行う訳ですから、ご本人の心身の状態及び生活の状況に配慮しなければなりません。居住環境の変化は、ご本人の精神状況に大きな影響を与えかねませんので、居住用不動産を売却する場合には、特にご本人保護への配慮が必要となります。その為、「成年後見人」による恣意的な処分では無く、ご本人保護の為の処分であると判断された場合に、家庭裁判所による許可の審判がなされることになるのです。
以上、『成年後見制度』につきまして、基本的な情報をご提供して参りました。
「成年後見人」が付く事で不動産流通に良好な風が吹くという事だけを申し上げたい訳では無く、あくまで第一にはご本人様の保護という観点から、当コラムをご提供させて頂きました。
これから住宅を購入なさるお客様、既に購入なさっていらっしゃるお客様、皆様がご不安無く安心してお過ごしになられるよう、ご検討の一助となれば幸いに存じます。
弊社では、そのようなお客様のお困り事に寄り添い、ご一緒に解決策を見出すお手伝いをさせて頂きたいと考えております。
当コラムに関連し、実際に「成年後見人」をご検討中のお客様で、家庭裁判所での手続きが複雑で困難と思われる際には、後見人の手続きを代行して下さる専門家(司法書士等)もご紹介させていただきます。
お困りの際には、どのような事でも是非お気軽にご相談下さいませ。
経験豊富なスタッフが誠心誠意ご対応させて頂きます。




